
午前中、あおいは砂場の隅でしゃがみこみ、茶色い砂をこぼれ落ちるほど両手ですくっていた。砂がさらさらと流れ落ちるのを何度も繰り返し、その間ずっと無言で、ときどき砂を鼻に近づけてくんくん。保育士さんが「いい匂いだね」と言うと、ほんの少し頭を動かしただけで、また砂に目を落とした。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
窓辺で、あおいは白いお花を持ったまま動かない。そっと鼻に近づけ、目を閉じてくんくん。ままが「きれいね」と言うと、照れ笑いで、お花をゆっくり回して、光に透かしながら眺めた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
動物図鑑のページをめくるあおい。象の写真に指を止めて、「ぞうさん」とつぶやき、自分の鼻の前で腕を象の鼻のように動かしてみる。ママの笑顔に気づくと、照れたように頭を傾けた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
おやつの時間、あおいは小さなぶどうを一粒つまみ、じっと掌に乗せたまま動かない。紫色の丸い粒をあちこちから眺め、くんくんと匂いを嗅ぎ、やがてそっと唇に触れて、ようやく口へ。食べた後も長く、その指の跡をぼんやり見つめていた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
庭で見つけた茶色い枝を両手で握り、ままの顔へそっと近づけてみせる。「ちゃいろ」とままが言うと、あおいは枝をくるくる回して、日差しに透かしながら眺めた。つぶやくように「ちゃ、ちゃ」と繰り返し、自分が何か大切なものを発見したような、静かな喜びに満ちていた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
朝食の時間、あおいはスプーンを握ったまま、バナナの黄色をいつまでもじっと見つめている。つぶやくように「ばなな」と言い、そっと指で触れ、また目で追う。食べることより、その色と言葉が重なる瞬間を何度も確かめたいのだろう。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
午後の部屋で、あおいは両足をぴんと伸ばして座り、自分の足の裏をじっと観察している。ママの「おてて、おてて」という声に、ゆっくり片手を持ち上げ、その手を自分の足に重ねてみる。手と足の違いを、ようやく指で確かめ始めた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
保育園の庭で、あおいはしゃがみこんで小さな石ころを拾っていた。握ったり落としたり、何度も繰り返す。やがて石をままに差し出して、「あ、あ」と声をかける。ままが「そっか、くろいね」と言うと、あおいは石を見つめ直し、またそっと握り返した。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
色とりどりのボタンが散らばったテーブルで、あおいは赤いボタンを指でつつきながら、それを口へ運ぼうとする。ままが「あか、あかね」と呼びかけると、あおいは一度動きを止め、ボタンを指でつまみ直し、今度は目の前にかざして光にかざした。色と音、触覚と視覚が交差するその瞬間、あおいの表情に満足げな静けさが広がった。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
寝起きのあおいは、天井の白さをじっと追っていた。やがて目の焦点が定まると、そこに何かを見つけたように、口をあーあー動かし始める。声と視線が一致したその瞬間、赤ちゃんの世界がひとつ広がったようだった。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
おはようの光が窓から差し込むと、あおいは両手をゆっくり上げて、その光の中に手をかざした。指と指のあいだから漏れる光をじっと眺め、手をくるくる回す。光が指の上を踊るたびに、小さな声で「あ、あ」と呟く。世界がこんなに美しいことに、今朝初めて気づいたのかもしれない。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばななままの声が聞こえると、あおいの体がぐにゃりと反応する。声の方へ顔を向け、くうくうと小さな音を返す。言葉になる前の呼び合い、その往復のなかで、二人の距離が縮まっていくようだった。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな手足をバタバタさせながら、自分の足の指をじっと眺めるあおい。指が動くたびに、その動きを目で追い、また動かし、という試行錯誤を繰り返す。自分の体の端まで、ようやく意識が届き始めたのだろう。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばななおもちゃを口に運ぶあおい。舌で転がし、歯茎で押しつぶすように探る。固さ、弾力、味わい。全身で素材を知ろうとする動きは迷いがなく、むしろ研究者のような集中力を帯びていた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
鏡に映った自分の顔を見つめるあおい。瞳が揺らぎ、そっと手を伸ばして鏡面に触れる。映像と実感のズレに戸惑うのか、その手をゆっくり引いて、また同じ仕草を繰り返した。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
母親の頬に手を伸ばしたあおい。その指がふわりと触れると、自分の手の温かさを感じ取ったのか、くすりと小さな声を出した。繰り返し同じ仕草をする様子は、世界との関わり方をそっと学んでいるみたいだった。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
おもちゃの布製ブロックを握った手がぎゅっと力を入れると、かすかなにおいを嗅ぎ始めた。眉根を寄せるようにして集中するその表情は、何かを確認しているようでもあり、何かを記憶しようとしているようでもある。素材の匂い、手触り、重さ。すべてが情報。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな
鳥の声がラジオから流れたとき、あおいの体がぴたりと止まった。耳を澄ます仕草で、小さな顔が静寂のほうへ向く。その集中の瞬間に、世界はこの子にはまだ音で満ちているのだと気づかされた。
最近覚えた言葉茶色ワンワンばなな