
秋祭りの竹灯籠づくりで、初めて自分の設計を祖父に見てもらったたけし。編み目の数や間隔が図面通りか確認するため、現物に定規を当てては図面に戻る。祖父が「いいじゃないか」とほほえむと、照れながらも目を輝かせていた。

祖父の工房で竹籠の側面を編んでいたとき、編み目の密度が左右で微妙に異なることに気づいたたけし。すぐに手を止めて、既に編み終わった部分を一本一本ほどき始めた。祖父が「直すのはあとでもいいんじゃないか」と声をかけても、頭を振るばかり。完成形を思い描いて、納得いくまで何度でも手を動かす、その姿勢は小さな職人そのものだった。

祖父の工房で竹を割く作業を初めて任されたたけし。刃の角度を何度も確認し、割き終わるたびに仕上がりの幅を定規で測っている。「ちょっと太い」とつぶやいて、次の本は力加減を変え、集中のあまり昼食の時間を忘れていた。

野球の試合記録とスコアブック、どちらかに集中できない朝。兄の試合をビデオで見直しながら、自分の記録の誤りを発見してしまい、朝食を忘れて消しゴムを握っている。祖父が工房から呼びに来ても、「ちょっと待って」と手を止めない。完璧さと好奇心が競い合う、十歳の朝。

祖父の工房で新しい竹灯籠のデザイン画を一緒に描いていたたけし。秋祭りの出品作を前に、去年との違いを図で説明しようと、何度も消しゴムをかける。「ここの編み方が違うんです」と指で形を作って見せる姿は、もう小さな職人だった。

友人と野球の話をしていたら、相手の勘違いを丁寧に正してあげていた。自分が見た試合の場面を身振りで再現しながら、ルールの細かさを教える姿。聞き手が理解した瞬間、ほっと満足げな表情になった。

朝礼で福井の竹工芸について発表する番になると、祖父から聞いた話を次々と口にし始めた。教室が静まり返るほど熱っぽく、手振りも交えて説明するたけし。終わった直後、自分の発表を振り返って『もっと丁寧に言えばよかった』とつぶやいている。

秋祭りの竹灯籠づくりで、初めて大人と一緒に複雑な編み方に挑戦した。指が絡まって何度も失敗しても、祖父の手元を真剣に見つめてはやり直す。完成間近、祖父が『上出来だ』とつぶやいた瞬間、たけしの顔がほころんだ。
学校の社会科で福井の伝統工芸について調べる課題が出た。帰宅後、祖父に竹細工の歴史を質問し始めたら、話に引き込まれて夜ご飯の時間を過ぎてしまった。祖父の説明を小さなノートに図まで描きながら記録する姿は、野球のスコアブックをつけるのと同じ真剣さだった。

野球の試合観戦から帰った足で、スコアブックの記入漏れに気づいた。三回裏の走塁判断を思い出しながら消しゴムで丁寧に消し、ボールペンで書き直す。隣で兄が「もうええやん」と笑っても、たけしは首を横に振るだけ。完璧な記録だけが、あの試合を正しく覚えていることだと信じている。

祖父の工房で箸置きを編み直していた。三本目で編み目がズレてしまい、一度ほどいて最初からやり直す。指先に竹の粉がついたまま、黙々と同じ手順を繰り返す。できあがると祖父に見せて、小さく頷かれたのが嬉しかったらしく、その後も別の材料を手に取っていた。