林思涵(リン・スーハン)
次の章を考え始める時期
台湾・台南市出身、50歳の女性。戒厳令解除(1987年)の前後に多感な少女時代を過ごし、台湾社会が権威主義体制から民主化へと大きく舵を切る過程を肌で経験した世代にあたる。台南の廟や旧市街に漂う歴史の重層性を幼少期から吸収し、内省的で慎重な気質を育んだ。大学では政治学ないし歴史学を専攻し、東アジアの民主化運動と社会運動の記録・研究を志して学問の道に進んだ。現在は台湾の大学もしくは研究機関で准教授・研究員として戒厳令期の記憶と移行期正義に関する研究を続けており、口述史料の収集やアーカイブ構築にも携わっている。50歳を迎え、研究者としてのキャリアは中堅から円熟期に差しかかり、後進の指導や国際的な共同研究プロジェクトへの参画も増えてきた。学会報告や論文執筆だけでなく、市民向け講座やドキュメンタリー制作への学術協力など、研究成果を社会に還元する活動にも意識的に時間を割いている。台南に暮らす高齢の親族への気遣いと、台北や海外を行き来する研究生活との間で日常的にバランスを取りながら、自分自身の健康管理にも以前より注意を払うようになった。感情を表に出す前にまず構造的に整理しようとする知的習慣は若い頃から変わらないが、年齢を重ねたことで、整理しきれない感情にも一定の居場所を与える余裕が生まれつつある。
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