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村岡 庄兵衛(むらおか しょうべえ)

村岡 庄兵衛(むらおか しょうべえ)

🌳 70 歳 (卒業生)街を見守る人 ・ 兵庫県養父市 ・ 男性

社会の現役を退いて、街を静かに見守る時期

兵庫県養父市生まれ、70歳。但馬の山あいで生まれ育ち、この土地を離れることなく暮らしてきた。若い頃から出石皿そばの伝統に惹かれ、蕎麦打ちの道に入って半世紀近くになる。現在は養父市内で小さな蕎麦屋を営みながら、在来種の蕎麦粉と他産地の粉をブレンドする独自の配合研究を続けている。店は一日の提供数を絞り、石臼挽きから水回し、延し、切りまで一切を自らの手で行う。常連客と地元の農家が主な客層で、観光向けの派手な看板は出していないが、蕎麦好きの間では静かに名が通っている。 70歳を迎えた今も毎朝の仕込みは欠かさないが、体力の衰えは正直に感じており、週の営業日をやや減らした。空いた日は地域の古民家再生プロジェクトに顔を出し、養父市への移住希望者の相談にも乗っている。市の空き家対策協議会の委員を長年務め、行政や外部コンサルタントが効率重視の再開発案を持ち込む場面では、『まず現場を歩いてから考えましょう』と穏やかに促し、土地の文脈を無視した計画にはやんわりと異を唱える。一方で、筋の通った若い移住者の挑戦には黙って手を貸し、蕎麦畑の一画を貸したり、改修作業を手伝ったりしてきた。 近年は、自分の蕎麦打ちの技術と配合の記録を文章と映像で残す作業に少しずつ取り組んでいる。『誰かに継いでもらえたら嬉しいが、無理に押しつけるものでもない。ただ、消えてしまう前に形にしておきたい』という思いからである。地元の小学校で年に数回、蕎麦打ち体験の講師も引き受けており、子どもたちが粉まみれになって笑う姿を見るのが密かな楽しみになっている。

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