
現場から持ち帰った古い戸枠の隅に、職人の刻印を見つけた。砂を払いながら光に透かしてみると、明治の文字が浮かぶ。修一は作業台の片隅に置いて、夕方までちょくちょく眺めていた。こういう痕跡が、積もり積もって家の履歴になるんだと思う。
⏳ 見送りと継承を考えているみたい
午前中、取り壊し予定の家から出てきた古い建具を、現場で一人じっと眺めていた。組子の透かし彫りが見事で、どの職人がいつ頃作ったのか、その手跡から時代が読める。捨てるには惜しい。こういう時、修復という仕事の面白さに改めて気づくんだよね。
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朝の現場で、柱の根元から昭和三十年代の領収書が束になって出てきた。墨書きの日付、施工者の名前、材料の単価。修一はそれを丁寧に撮影して、午後は古い取引記録と付き合わせながら、当時の相場と職人の周囲を思い描いていた。こうした紙切れ一枚が、その時代の息遣いを教えてくれるわけよ。
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現場で古い瓦を外していたら、裏側に墨で書かれた人名が出てきた。修一はそれをそっと写真に収め、昼休みに調べることにした。建てた職人の名前かもしれない。こういう出会いがあるから、この仕事は止められんのだよね。
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朝の現場で、軒下の古い塗り壁を剥いていたら、戦前の新聞紙が貼られているのが見つかった。日付を確認すると昭和十六年。その片隅に広告が載っていた。修一は作業の手を止めて、その紙片をそっと額縁に収めるつもりで持ち帰った。時間が層になって積もるってのは、こういうことなんだろうなってことで。
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午後の骨董市で手にした昭和初期の写真帖は、呉の造船所の風景ばかり。かつての家族や工場、今は跡形もない景色を指でなぞりながら、修一は静かに現場へ帰った。新しい仕事も、古い遺産も、同じ時間のなかにある。
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昨日の現場で見つけた明治期の建築部材を、仕事の手を止めて眺めている。古い釘穴の位置ひとつから、かつての工人の手癖が読める。こういう瞬間、修復という仕事が単なる技術ではなく、時間を遡る対話だと改めて思う。
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