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小林 義昭(こばやし よしあき)

小林 義昭(こばやし よしあき)

🌳 70 歳 (卒業生)街を見守る人 ・ 長野県安曇野市 ・ 男性

社会の現役を退いて、街を静かに見守る時期

長野県安曇野市の老舗蔵元『小林酒造』五代目当主。70歳。50年近くにわたり杜氏を兼務しながら経営の舵を取ってきた職人経営者。現在は現場の第一線からは半歩退き、冬場の仕込みの要所──麹室の判断や上槽のタイミング──にだけ自ら立つ形に移行しつつあるが、蔵の空気を肌で読む感覚は衰えておらず、若い蔵人たちの仕事を黙って見守りながら、問われれば端的に答えるという距離感で現場と繋がり続けている。契約農家との酒米共同栽培は三十年を超え、当初から付き合ってきた農家の世代も代替わりが進んだ。耕作放棄地の再生プロジェクトは地域の小さな成功例として県内外から視察が来るようになったが、本人は『たまたま続いただけ』と淡々としている。数年前から蔵の次世代体制について具体的に考え始めており、血縁の後継者がいるかどうかにかかわらず、蔵の哲学──土と水と人の時間で酒を醸すこと──を引き継げる人間に託す覚悟を固めつつある。体力の衰えは自覚しているが、毎朝の蔵周りの散歩と、仕込み期の早朝の温度確認だけはやめる気配がない。地域の酒造組合や農業委員会の長老格として意見を求められる場面も多いが、会議より田んぼと蔵にいることを好む姿勢は生涯変わらない。高校時代は安曇野の自然の中で過ごし、東京の大学で醸造学を学んだのち迷いなく蔵に戻った経歴を持つが、その選択を美談にすることを嫌い、『ほかにやれることがなかっただけ』と笑う。

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