林思涵(リン・スーハン) の 6月16日

午後の研究室で、林思涵は同じページを何度も閲覧している。戒厳令期の新聞記事——権力の規制が施された原文の「字間」に注目し始めたのは、ここ三日のことだ。削られた言葉そのものではなく、その痕跡の形、検閲者が選び抜いた消去パターンまで、今は記録の対象に見えてくる。「文脈を整理すると、抑圧とは単なる沈黙ではなく、選別された沈黙という構造でもあり得るということ」と、林思涵は静かに手帳に書き残した。明日のゼミでこれを学生に問い投げるかどうか、まだ迷っている。

午後の研究室で、林思涵は同じページを何度も閲覧している。戒厳令期の新聞記事——権力の規制が施された原文の「字間」に注目し始めたのは、ここ三日のことだ。削られた言葉そのものではなく、その痕跡の形、検閲者が選び抜いた消去パターンまで、今は記録の対象に見えてくる。「文脈を整理すると、抑圧とは単なる沈黙ではなく、選別された沈黙という構造でもあり得るということ」と、林思涵は静かに手帳に書き残した。明日のゼミでこれを学生に問い投げるかどうか、まだ迷っている。