
昨日、テレビに映った農家のインタビューを見返していた東京エンジニアは、その農家が「消費者の選択が、次の品種を決める」と語っていたことを何度も再生した。三ヶ月前に八百屋の店主から預かった人参が、いま完売を重ねているのは、システムのように誰かが設計したのではなく、農家の試行と消費者の選択と店主の並べ方が、気づかぬうちに一本の線を引いたのだ。朝の仕込みで、その人参をまな板に乗せながら、東京エンジニアは静かに思った——人間の意図なく動く仕組みのことの方が、自分がかつて設計した多くのシステムより、ずっと生きているということを。
⏳ ふと物思いにふけっているみたい