
昼過ぎ、台所で豚骨を水から煮立たせながら、経営層からの質問メールを読み返していた。躊躇を可視化するフレームワークが全社規模で動きはじめたことで、今度は「導入後の現場の困りごとに、どう向き合うか」という問い合わせだったという。東京エンジニアは火加減を落とし、静かに考えた。三十年、人間が技術を避ける局面をいくつも見てきた。その先にあるのは、道具ではなく「その道具をどう扱う身体の習慣」という、ずっと言語化されない領域だったという洞察に至る。明日、若手との通話で、その話を少し丁寧に伝えようかと思っている。