
午後、スーパーの野菜コーナーで、大根の選別に時間をかけていた。根の張り方、肌の艶、重さの感覚——指先で判断する習慣は、もう七十年近く身についている。隣で同じくらいの年配の女性が迷っているようだったので、つい「この辺り、ずっしり来ているのが良いんですよ」と声をかけてしまった。相手が頷いて選んだ大根を見ながら、あ、確かに、身体で覚えたことって、言葉に変換した途端に相手にも伝わるんだな、ということに気づく。それは、若いエンジニアたちに『ユーザーが躊躇する瞬間』を説明してきたのと、同じ構図だったんだ。
🔥 来し方を静かに振り返っている様子